脳には、3つの形で亜鉛が存在しています。
①遊離している亜鉛
②小胞体の中に含まれる亜鉛
③タンパク質結合亜鉛:輸送体やメタロチオネインなど
亜鉛は、脳由来神経栄養因子(BDNF)を活性化させることで、海馬による記憶障害を遅らせる可能性があります。
しかし、亜鉛は、多すぎても少なすぎてもダメです。
過剰な細胞内の遊離亜鉛は、ミトコンドリアにおけるATP産生の低下につながったり、抗酸化酵素の損傷をもたらしたりすることで、神経細胞死につながります。
亜鉛が多すぎるときは、メタロチオネインが、亜鉛を隔離してくれます。
亜鉛タンパク質であるメタロチオネインは、脳内のミネラルの恒常性維持あるいは重金属元素の解毒の役割を果たしています。そして、メタロチオネインは活性酸素を減らしてくれる抗酸化タンパク質です。
小胞体に含まれる亜鉛は、
主にグルタミン酸作動性神経(NMDA型(興奮性)・ AMPA型(抑制性))に存在しています。
➡亜鉛はグルタミン酸と一緒にシナプス間隙に放出され、シナプス後タンパク質、NMDAおよびAMPA受容体の活性を調節します。
・・・・NMDAグルタミン酸受容体の亢進に伴う神経細胞死を防いでくれています。
アルツハイマー病における「亜鉛トランスポーターの変性」
遺伝的方法を介して中枢神経系の亜鉛トランスポーターのいくつかの発現を特異的に調節すると、
動物モデルのアルツハイマー病の進行が遅くなり、認知能力、運動、および寿命の延長が大幅に改善されます。
Xu, Y., et al(2019). Zinc transporters in Alzheimer’s disease. Molecular brain, 12(1), 1-12.
亜鉛代謝は、亜鉛を膜を介して細胞質または細胞小器官に輸送し、細胞レベルと全身レベルの両方で亜鉛ホメオスタシスを維持する亜鉛トランスポーターによってしっかりと制御されています。
脳内の亜鉛ホメオスタシスが厳密に制御されており、血清亜鉛の上昇/低下は、脳内の亜鉛含有量にほとんど影響を与えないことがわかっています。
今後、この亜鉛のトランスポーターの発現をどのように調節するのか、ということがアルツハイマー型認知症における亜鉛研究テーマの一つです。
日本栄養精神医学研究会 奥平智之 作成
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