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執筆者の写真奥平智之

「亜鉛欠乏」による「接触皮膚炎」の発症メカニズム:亜鉛欠乏による免疫異常と炎症:テープかぶれ・低亜鉛血症

更新日:2021年4月11日

接触皮膚炎は、接触性皮膚炎(かぶれ)とも呼ばれます。


刺激物質により表皮細胞が産生したATPが放出されることにより、

隣接する表皮細胞が炎症誘発性ケモカインを産生します。その結果、皮膚の炎症につながります。


【亜鉛欠乏の人は?】

1.皮膚細胞から過剰に細胞外ATP(炎症の誘因物質)が産生される

2.炎症を減らす火消し役「ランゲルハンス細胞」 (緑:細胞外ATPを分解)が少ない



亜鉛欠乏の人は、免疫異常・炎症を起こしやすくなります。


一方で、免疫機能の低下も引き起こします。

①抗体形成の低下

②NK細胞による殺傷活性の低下

③顆粒球・単球・マクロファージにおける食作用と細胞内死滅のレベルの低下

Rink, L., et al.(2007). Zinc homeostasis and immunity. Trends in immunology, 28(1), 1-4.


【テープによる皮膚障害(テープかぶれ)の原因は2つ】

物理的刺激による 皮膚障害:角質や表皮の剥離など

化学的刺激による 皮膚障害:テープに含まれる刺激物質が原因。「一次刺激性接触皮膚炎」(Irritant Contact Dermatitis:ICD)と「アレルギー性接触皮膚炎」(Allergic Contact Dermatitis:ACD)に分けられます。


ちなみに、精神科治療においては、ムズムズ脚症候群治療薬のニュープロパッチ(ロチゴチン)、抗認知症薬のリバスタッチパッチ・イクセロンパッチ(リバスチグミン)や、抗精神病薬のロナセンテープ(ブロナンセリン)などの貼付剤があります。


●まとめ

亜鉛欠乏によって免疫異常と炎症が起こりやすくなります。

テープかぶれのリスクも上がります。

ストレスが多い方、メンタル不調者、高齢者、アスリート、成長期のお子さんは、低亜鉛血症の方が多いです。

血液検査を行い、低亜鉛血症の有無を確認しておきましょう。


日本栄養精神医学研究会 奥平智之


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