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執筆者の写真奥平智之

「亜鉛」足りている?ミネラルはバランス!:血液検査の重要性:亜鉛欠乏・低亜鉛血症

更新日:2021年5月7日


血清亜鉛は、いろんな因子に影響されますが、概ね『100μg/dl』を目指して摂取してほしい重要ミネラルです。 亜鉛を補充する際は、血清銅も亜鉛も、どちらも100μg/dl程度に。

低すぎず、高すぎず、2つの数字のバランスを確認します。


亜鉛の過剰投与は、銅や鉄やマグネシウムなどの他の二価のミネラルの欠乏につながります。

鉄は、定期的な血液検査で、フェリチン(貯蔵鉄)が下がってきていないか、TIBCが上がってきていないかなどの経過もみていきます。

炎症の評価も大切です。


食事からの摂取では、基本的に摂りすぎの心配はありません。


アルコールなど様々な心身のストレスは、亜鉛の需要を増やします。


〇肝疾患、骨粗鬆症、慢性腎不全、糖尿病、うっ血性心不全などでは亜鉛欠乏であっても低値を示さないことがあります。


〇亜鉛製剤が胃腸に触る人 亜鉛製剤で胃部不快や悪心嘔吐がみられる人は1割程度います。亜鉛は50㎎を超えると嘔吐を催させるため、こういった問題を回避するためには、亜鉛の酢酸塩やグルコン酸塩が推奨されています。ちなみに低亜鉛血症の保険適応を持つ医療機関で処方されるノベルジンは酢酸亜鉛です。胃部不快がある人は、用量を減らしたり、食事中に摂取すると良いでしょう。摂取の基本は食事。肉や魚に豊富です。卵は肉よりも少なく、果物や野菜には亜鉛はあまり含まれていません。


〇メタロチオネイン 亜鉛を150㎎/日を投与しているウィルソン病(異常な銅の蓄積がおきる病気)では、血清銅の低下が報告されています。これは、亜鉛が腸におけるメタロチオネイン(金属結合たんぱく質)の発現を誘導することで起こります。メタロチオネインが亜鉛よりも銅に結合しやすいので、腸の上皮細胞から血中への銅の放出が妨げられるためです。

・・・メタロチオネインの役割は、①過剰な重金属を減らすこと、②活性酸素を減らすことです。 メタロチオネインは、亜鉛以外にも、炎症やストレスでも誘導されて、体を守っています。


●まとめ

ミネラルの摂取はバランスが大切です。

鉄の過剰摂取は、亜鉛の吸収を妨げ、逆に亜鉛の過剰摂取も鉄の吸収を妨げます。

自己流でサプリを飲んでいる人、不調を抱えている人は、定期的に血液検査をしておくとよいでしょう。

外来では、ミネラルが豊富な「だし粉」を用意しておくことをおすすめしています。



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