【コレステロールから何が作られる?不足すると?】
コレステロールは、ギリシア語の chole-(胆汁)に由来するように、胆汁酸の材料となります。コレステロールが豊富なのは、卵黄などの動物性タンパク質に豊富です。しかし、体内のコレステロールは、食事由来よりも、肝臓など体内で合成されたものの方が多いです。アセチルCoAを材料に、細胞内の小胞体でつくられます。肝臓(体内合成の7割)の次にたくさんコレステロールを作っているのは皮膚です。皮膚では、コレステロールからビタミンDが紫外線が作用してつくられています。
からだのコレステロールの1/4は脳にあり、1/3が神経系に分布しています。神経を包んでいるミエリン(さや)もコレステロールが豊富で、ミエリンは情報の神経伝達を高速で行うために重要なものです。
また、全身の細胞膜もコレステロールから構成されています。赤血球の膜が弱くなると、活性酸素などの外的刺激により、膜が破けやすくなります。その結果、赤血球の中のものが漏れ出て、血液のいくつかの項目の値が高めに出ていることがあります。
さらに、副腎から分泌されるコルチゾールや男性ホルモン・女性ホルモンなどのステロイドホルモンも、コレステロールからできています。
以上のことから、低コレステロール血症とうつ状態との関連も示唆されています。メンタル不調の患者さんで、総コレステロールが低すぎる患者さんには、「めざせ200」と伝えています。
奥平智之:栄養精神医学(6)「栄養型うつ」の種類と対策.精神看護(22)1:97-103,2019.1
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