「サイトカインストーム」って・・・聴いたことありますか?
コロナウイルスによる肺の直接的損傷よりも「サイトカインストーム」による障害が大きいと言われています。
サイトカインストーム(Cytokine storm)とは何でしょうか?
通常、感染すると、免疫系の細胞から分泌される生理活性物質「サイトカイン」(インターフェロン(IFN)、腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキン(IL)、ケモカインなどを含みます)が、好中球などの免疫細胞を活性化し、さらなるサイトカイン放出を免疫細胞に促して、体内の免疫細胞を集めて感染組織を死滅させます。
しかし、病原性の脅威に対して免疫が過剰に反応してしまうと、様々なサイトカインの血中に増えすぎてしまいます。本来、我々のからだを守るはずの免疫が、暴走して我々の体中の健康な組織を傷つけてしまうことになります。
つまり、サイトカインストームとは、「炎症誘発性サイトカイン産生の過剰誘導」と言えます。
重症化すると、血液凝固機構活性化,血管拡張に伴う血圧低下などを介して、血栓の形成やショックに至ります。
Liu, Q., et al. (2016). The cytokine storm of severe influenza and development of immunomodulatory therapy. Cellular & molecular immunology, 13(1), 3-10.
活性酸素が炎症反応とウイルス複製に中心的な役割を果たすので、抗ウイルス効果と抗炎症効果を発揮する「抗酸化物質」は、サイトカインストームの治療にも効果的です(Yuan S. Drugs to cure avian influenza infection–multiple ways to prevent cell death. Cell Death Dis. 2013;4:e835.)。
例えば、N-アセチルシステイン(NAC)は、肺上皮細胞において、インフルエンザウイルス複製とIL6など炎症誘発性分子の産生の両方を阻害することが報告されています(J, et al. N-acetyl-L-cysteine (NAC) inhibits virus replication and expression of pro-inflammatory molecules in A549 cells infected with highly pathogenic H5N1 influenza A virus. Biochem Pharmacol. 2010;79:413–420. )。
また、ポリフェノールである様々なフラボノイドがインフルエンザAウイルスの複製を妨害することが報告されています(Michaelis, M., et al. (2014). Effects of flavonoid-induced oxidative stress on anti-H5N1 influenza a virus activity exerted by baicalein and biochanin A. BMC research notes, 7(1), 384.)。
✳︎フラボノイド→緑茶、ブルーベリー、ケルセチンなど
そして、ビタミンDが重要な役割を果たしています。
★ビタミンDが感染のリスクを減らすメカニズムには、4つあります
①気道粘膜を強化する
②抗菌ペプチド「カテリシジン」「ディフェンシン」の誘導してウイルスの複製率を下げる
③肺の内壁を傷つけて肺炎につながるサイトカインストームのリスクを軽減する
④抗炎症性サイトカインの濃度を高める
感染のリスクを減らすために、COVID-19のリスクがある人々は、期間限定で3週間のみ、一日あたり1万 IUのビタミンDを摂ることを考慮(Grant, W. B., et al. (2020). Evidence that Vitamin D Supplementation Could Reduce Risk of Influenza and COVID-19 Infections and Deaths. Nutrients, 12(4), 988. )。
✳︎原則として、医療機関でビタミンDの血中濃度の測定をしていない方は、1日あたり4000IU以内の摂取が基本
COVID-19患者におけるサイトカインストームの抑制と死亡率における「ビタミンD」の役割が報告されています
(Daneshkhah, A., et al. (2020). The Role of Vitamin D in Suppressing Cytokine Storm in COVID-19 Patients and Associated Mortality. medRxiv. )。
ビタミンDを高用量摂取するときは、マグネシウムやビタミンKなどの脂溶性の需要も増えるので補いましょう。
マグネシウム補給には、気軽に使える「にがり」をおすすめしています。
「ステイホーム!」
日光にあたる時間が減り、ビタミンD欠乏の人は非常に多いと思われます。
今は、感染対策として、免疫力をあげるために、ビタミンDをきちんと補給し、より最適な状態にしておくのが良いと考えます。
日本栄養精神医学研究会 奥平智之 作成
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