新型コロナウイルス感染症(COVID-19)についての問題
問1) COVID-19に対するステロイド薬について正しいのはどれか。1つ選べ。
① 軽症患者にも投与が推奨される。
【解説】軽症患者における有効性は示されていない。
② パルス療法3日間が標準的な投与法である。
【解説】デキサメタゾン6mg/日(プレドニン換算で40mg/日)、10日間が標準である。
③ デキサメタゾン以外のステロイド薬は効果が期待できない。
【解説】ほかのステロイド薬も同等の効果があると考えられる。
④ 病原体排出が長期化するため、原則として投与は推奨されない。
【解説】酸素投与が必要な患者においては投与が推奨される。
⑤ 人工呼吸管理が必要な患者群において、予後改善が最も期待できる。
【解説】正解。RECOVERY試験では、人工呼吸管理が必要な患者群においてデキサメタゾン投与群の致死率29.0%、対照群40.7%であった。
【正解】⑤
問2) COVID-19ワクチンについて正しいのはどれか。1つ選べ。
① 臨床試験においてCOVID-19ワクチン接種者1,000人中50人がCOVID-19を発症した場合、ワクチンの予防効果は95.0%である。
【解説】ワクチンの予防効果は、プラセボ群の発症者数と比較してワクチン接種群の発症者数がどのくらい減少したかに基づいて算出される。
② mRNAワクチンはさまざまな感染症に対するワクチンとして広く使用されている。
【解説】mRNAワクチンは新しいタイプのワクチンであり、これまでに承認されたものはなかった。現在、弱毒ワクチンや不活化ワクチンが広く使用されている。
③ アデノウイルスベクターにSARS-CoV-2遺伝子を組み込んだワクチンを接種すると、ベクターであるアデノウイルスに対する感染阻害抗体も産生される。
【解説】正解。ウイルスベクターワクチンでは、ベクターとして用いるウイルスに対する感染阻害抗体も誘導される。その結果、2回目以降のワクチン接種の効果が低下する可能性がある。
④ 承認されたすべてのCOVID-19ワクチンは小児に摂取しても安全かつ十分な免疫応答が誘導されることが確認されている。
【解説】12歳未満の小児はほとんどの第Ⅲ相臨床試験の対象に含まれないため、小児に対する安全性・有効性のデータは得られていない。
⑤ COVID-19ワクチンを接種しても誘導された免疫は1年以内に必ず消失するため、毎年ワクチンを接種する必要がある。
【解説】ワクチンの予防効果の持続期間は明らかになっておらず、今後の解析が必要である。
【正解】③
問3) COVID-19の感染対策として誤っているのはどれか。1つ選べ。
① 無症状の患者の診療でもサージカルマスクを着用する。
【解説】無症状感染者や発症2日前よりウイルスを排泄している。
② 患者の診察の後には手指消毒用アルコールで消毒する。
【解説】アルコール消毒は有効である。
③ 患者のマスクを外して診療する場合は眼の防護を行う。
【解説】目の粘膜が曝露を受ける可能性があり、フェイスシールドやゴーグルで眼の防護をしていないと濃厚接触となる。
④ 患者の気管吸引を行うときはN95マスクを着用する。
【解説】エアロゾルが発生する危険性があり、N95マスクを使用する。
⑤ 疑い患者はCOVID-19確定患者と同室で隔離する。
【解説】COVID-19疑い患者は、診断が確定するまではCOVID-19確定患者と同室にしない。COVID-19でなかった場合、感染するリスクが高い。
【正解】⑤
問4) COVID-19について正しいのはどれか。1つ選べ。
① COVID-19患者の多くが小児である。
【解説】COVID-19患者に占める小児の割合は少ない。
② 小児のCOVID-19は重症化しやすい。
【解説】小児のCOVID-19は重症例が少ない。
③ 小児関連多系統炎症性症候群は日本人小児に多く認められる病態である。
【解説】小児関連多系統炎症性症候群の日本人小児例は少ない(2020年12月時点では報告例なし)。
④ 小児は獲得免疫の力が強いため、COVID-19は重症化しにくい。
【解説】小児は自然免疫の力が強い。COVID-19が重症化しにくい理由か否かは不明。
⑤ 小児のCOVID-19の疾病負荷に見合わない過度な制限は、子どもの権利を損ないかねない。
【解説】その通りです。
【正解】⑤
日本医師会雑誌 生涯教育 第150巻・第2号(2021年5月号)の解答:第150巻・第4号(2021年7月号)の一部
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「メンタルヘルスは食事から」 日本栄養精神医学研究会 奥平智之 作成
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