【ペット飼育がアレルギーを予防する⁉】
アレルギーの発症と腸内細菌叢の関係が明らかになってきました。特に腸内細菌が生体の制御性T細胞に与えるメカニズムも分かってきました。
また、ヒトとイヌは同じような環境で生活をするため、スギ花粉やダニ(ハウスダスト)のようなアレルゲンに暴露され、アレルギー疾患を呈します。このようなイヌのアレルギー反応を抑えるのに、プロバイオティクスである乳酸菌が有効であることが報告されています。
さらに、ペットにおいてはヒトと密接な関係があるため、ペットに存在する細菌叢が人の免疫系に影響する可能性があります。1999年、Hesselmarらがペット(ネコ、イヌ)を乳児期に飼育すると学童期の気管支喘息罹患率が低いことを初めて報告しました。
その後、ペットの飼育、とりわけ乳幼児期における飼育が、アレルゲンの感作やアレルギーの発症に抑制的に働くとする研究が欧米の有力な研究グループから相次いで報告され、世界中の疫学者やアレルギー研究者が競ってこの説の検証を始めました。
Ownbyらが1歳前にペットを2匹以上飼っていた場合、その子のアレルギー疾患の発症率は半分程度少なかったという報告をしました。また、スウェーデンでも大規模調査で、犬を飼っていた家庭で幼少期を過ごした子どもがぜんそくになるリスクは、犬がいなかった子どもよりも低いことが分かりました。そのメカニズムとして、「ペットの腸内細菌叢由来のアレルギー抑制細菌または細菌由来の物質」が乳幼児に影響を与える、という可能性が考えられています。
阪口雅弘, ヒトとペットのアレルギーと腸内細菌叢, ペット栄養学会誌, 21(3):152-153, 2018
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