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執筆者の写真奥平智之

【熱がでたら?】感染時に免疫力を上げ、症状を緩和する漢方薬《熱を上げるのを助ける漢方薬。熱を下げる解熱剤はなるべく飲まない》

更新日:2021年6月25日

《熱を上げるのを助ける漢方薬。熱を下げる解熱剤はなるべく飲まない》

★体力がある人であれば、一回しっかり熱を上げて汗をかいた方が免疫力が高まり、早くウイルスを撃退できます。

東洋医学では、その人の体質、個体差、症状を考慮して漢方薬を選びます。

例えば、寒気がしてうなじがゾクゾクして感染っぽい??と思ったら汗をかいていなければ初日は「葛根湯(かっこんとう)」です。ウイルス感染の引き初めに飲みます。肩から背中の凝りがあることが多いです。からだを温める生姜湯もいいでしょう。

しかし、胃腸が弱い人は、香蘇散(こうそさん)、汗をかいている人は桂枝湯(けいしとう)を使うこともあります。

胃腸が丈夫で汗が出なく、ふしぶしが痛かったり、咳が出るようであれば、「麻黄湯(まおうとう)」。症状が葛根湯よりも激しく、発熱も高熱が出てきそうな時に飲みます。しっかり発熱をサポートして汗をかいて、免疫力をあげます。体力がない人、胃腸の弱い人はやめておきましょう。

鼻水が強い人に小青竜湯(しょうせいりゅうとう)を使うこともあります。

風邪には、葛根湯や麻黄湯や小青竜湯がよくつかわれますが、これらには「麻黄(まおう)」「桂皮(けいし)」が含まれており、弱いですが抗ウイルス作用も報告されています。

①麻黄のエピカテキン・・・ウイルス不活化作用

②桂皮(シナモン)のシンナムアルデヒド・・・ウイルス遺伝子転写後の蛋白合成阻害による抗ウイルス作用

また、激しくせき込むなど乾いた咳が長引く人は、『麦門冬湯(ばくもんとうどう)』

息苦しさを感じて喘鳴があるような時に『神秘湯(しんぴとう)』

が使われることもあります。

『小柴胡湯(しょうさいことう)』は、風邪が少し長引いて、口が苦かったり、喉が痛い、胸や胃腸がすっきりしないときに免疫力をあげるために飲みます。

小柴胡湯を飲む人で、喉が痛い人は、『小柴胡湯加桔梗石膏(しょうさいことうかききょうせっこう)』の方がいいかもしれません。

この「柴胡(さいこ)」という生薬には、ステロイド様の抗炎症、免疫調整作用があります。

《新型コロナウイルスと漢方薬》

COVID-19の場合、進行が早く症状が軽くない例では、漢方薬が全く効かない可能性は高いです。しかし、もし感染して高熱になり、軽症例で漢方併用を検討するのであれば、『柴葛解肌湯(さいかつげきとう) 』がいいかもしれません。ウイルスが体表だけでなく一気に体の奥にまで侵入するため、体表と体内の両方に効く場合に使われる漢方薬です。保険製剤だと、前述した葛根湯(かっこんとう)+小柴胡湯加桔梗石膏(しょうさいことうかききょうせっこう)です。 葛根湯の寒気やコリや痛み、発熱、頭痛などの症状と、小柴胡湯の胸の違和感、口の苦み、食欲低下などの症状がある場合に使います。

中国政府がCOVID-19に対して積極的に使用して治療成績が良かったとされる『清肺排毒湯(せいはいはいどくとう)は、麻黄など21味の生薬からなり、日本の保険製剤だと『胃苓湯(いれいとう)』+『麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)』+『小柴胡湯加桔梗石膏(しょうさいことうかききょうせっこう)』に近い構成内容です。予防的に飲む漢方ではありません。『胃苓湯』は胃腸の機能を整えます。『麻杏甘石湯』は激しい咳や痰(たん)を抑え、『小柴胡湯加桔梗石膏』は喉(のど)の腫(は)れや痛みを和らげ、免疫力を高め、ともに抗炎症作用があります。


『感染対策は食事から』


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COVID-19に効くクスリがない現時点では、治療も予防も「総力戦」です。漢方薬は、症状や体質にあわせて、必要に応じて症状緩和や免疫力を高める補助薬として、使われてよいと思います。食事やサプリメントの内容も見直し、栄養面からの免疫力向上も大切です。


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