今までは、鉄の欠乏は、鉄欠乏性貧血のみが疾患として考えるべき状態であり、貯蔵鉄枯渇は「潜在性」鉄欠乏( 隠れ鉄欠乏 )であって、病気ではない病気の前段階であると考えられてきました。
しかし、貯蔵鉄枯渇(貧血のない鉄欠乏)では、既に最大酸素摂取量が低下しており、組織の呼吸や代謝を担う機能性鉄が減少している「欠乏症」であることが明らかとなっています。
アメリカのアフリカ系乳児 77 人の鉄の欠乏状態と精神発達の関連を調べた調査では、貧血のない鉄欠乏では、鉄欠乏性貧血よりは軽度であったが、精神発達の遅れが見られました。 Lozoff B, et al. Dose-response relationships between iron deficiency with or without anemia and infant social-emotional behavior. J Pediatr 152 : 696-702, 702 631-693, 2008.
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奥平 智之
日本栄養精神医学研究会 会長
医療法人 山口病院 副院長
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