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執筆者の写真奥平智之

クローブの免疫強化・抗菌・抗酸化・抗炎症作用:感染対策や食事栄養療法に活用奥平式クローブ水~ 抗菌ハーブ水

更新日:2021年4月5日

クローブは、何世紀にもわたって食品保存料として、また多くの薬用目的で使用されてきた最も価値のあるスパイスの1つです。クローブ、シナモン、ヘーゼルナッツ、コショウは、その希少性と価値から “ビックフォー” と呼ばれ、クローブは、欧米の貴族の間でも非常に人気のあるスパイスでした。カレーなどのスパイスや漢方薬としても使われていますね。


これから暑くなりますが、ペットボトルの水に口をつけると不衛生になりがちですが、クローブを水に入れることで、雑菌の繁殖を抑えられます。夏は衛生的!


500mlの水+クローブ1~3個程度+にがり数摘が、『奥平式クローブ水』の作り方です。クローブの量は目的や好みに合わせて調整してください。


にがりをいれることで、水がまろやかになり、不足しがちなマグネシウム補給になります。マグネシウムによる筋弛緩・エネルギー産生・免疫調整などの効果が期待できます。

にがり(マグネシウム)を入れてみましょう!


奥平式クローブ水は、口腔内をひきしめて、息をリフレッシュする以外に、クローブの抗菌特性により、口内の細菌の拡散を最小限に抑えることができます。

クローブ以外にも、オレガノ、ミント、タイム、シナモンなどに抗菌・抗酸化作用が期待できますが、クローブは、抗菌・抗酸化作用は、他のハーブと比べて高いです。



現在、クローブのより大きな生産国は、インドネシア、インド、マレーシア、スリランカ、マダガスカル、タンザニア、特にザンジバル島です。

含まれる成分は、フェノール化合物の主要な植物源の1つであるフラボノイド、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシシナミン酸、およびヒドロキシフェニルプロペン。そして、オイゲノールはクローブの主要な生理活性物質です。クローブのエッセンシャルオイルの89%はオイゲノールで、5~15%は酢酸オイゲノールとβ-カリオフィレノです。

クローブのエッセンシャルオイルに2.1%までの濃度で含まれるもう1つの重要な化合物は、α-フムレンです。クローブ精油に低濃度で存在するその他の揮発性化合物は、β-ピネン、リモネン、ファルネソール、ベンズアルデヒド、2-ヘプタノン、ヘキサン酸エチルです。

《クローブの抗酸化作用》

米国農務省は大学や民間企業と協力して、さまざまな種類の食品のポリフェノール含有量と抗酸化活性を含むデータベースを作成しています。香辛料植物は、ポリフェノール含有量の高い種類の食品であり、果物、種子、野菜がそれに続くことを示しています。クローブはポリフェノールと抗酸化化合物の含有量が高いスパイスです。


クローブオイルの抗酸化活性は、他と比較すると、

クローブオイル>ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)>アルファ-トコフェロール>ブチル化ヒドロキシアニソール>トロロックスの順となり、非常に優れています。

抗酸化物質は、酸化ストレスによって引き起こされる記憶障害の治療に重要な化合物です。クローブのエッセンシャルオイルで前処理すると、マロンジアルデヒドによって評価される酸化ストレスが減少し、マウスの脳内のグルタチオンレベルが低下します。この研究は、クローブオイルが酸化ストレスの減少の結果として、短期的および長期的にスコポラミンによって引き起こされた記憶および学習障害を元に戻すことができると結論づけましたHalder, S., et al. Clove oil reverses learning and memory deficits in scopolamine-treated mice. Planta medica, 2011; 77(08): 830-834. 。


クローブは、低濃度で抗酸化力、高濃度で酸化力を発揮します。

《クローブの抗菌作用》

クローブとオレンジを使用して、すべての天然空気消臭剤を作ることができます。

クローブの精油が、食中毒を引き起こす可能性のある細菌の一種であるE. coliを含む3種類の一般的な細菌を殺菌したことが示されています。

Nuñez, L., & D'Aquino, M. Microbicide activity of clove essential oil (Eugenia caryophyllata).Brazilian Journal of Microbiology,2012;43(4): 1255-1260.


クローブ以外の抗菌作用が期待できるハーブ(スパイス)である、オレガノ、ローズマリー、タイム、セージ、バジル、ターメリック、ジンジャー、ニンニク、ナツメグ、メイス、セイボリー、フェンネルと組み合わせて使うのも良いでしょう。

Tajkarimi M.M., Ibrahim S.A., Cliver D.O. Antimicrobial herb and spice compounds in food.Food Control.2010;21:1199–2121.


バクテリアに対するオイゲノールの幅広い活性に加えて、2μg/ mLのオイゲノールとシンナムアルデヒドは、ヘリコバクター・ピロリ菌31株のすべての増殖を阻害しました。耐性を獲得することなく、ピロリの増殖を妨げますAli, S., et al. Antimicrobial activities of Eugenol and Cinnamaldehyde against the human gastric pathogen Helicobacter pylori. Annals of clinical microbiology and antimicrobials, 2005;4(1): 20.。


オイゲノールは、クローブの主成分です。シンナムアルデヒドは、シナモンの主成分であり、ともに、多くの病原性細菌に対して活性であることが証明されていますSuresh, P.,et al. Antibacterial activity of eugenol in comparison with other antibiotics. Journal of food science and technology (Mysore), 1992;29(4): 254-256. 【他の抗生物質と比較したオイゲノールの抗菌活性】。

クローブは、無害であり、食中毒病原菌などに非常的な効果的であるため、食品保存の役割が期待できます。


《クローブの歯周病原菌に対する作用》

クローブオイルが歯周治療の補助剤となる可能性があります。クローブは口腔微生物を70%に抑制し、練り歯磨きの主成分としてクローブオイルが使われることがあります。

Ali HS, et al. In vitro clove oil activity against periodontopathic bacteria.J Sci Tech.2009;10:1–7.


《クローブの抗真菌作用と腸管》

オイゲノールとカルバクロールの抗カンジダ活性を膣カンジダ症モデルでテストし、コントロールを比較しました。結果は、オイゲノールとカルバクロールが膣カンジダ症の治療と予防のための有望な抗真菌剤である可能性があることを示唆していますChami, F., et al. Evaluation of carvacrol and eugenol as prophylaxis and treatment of vaginal candidiasis in an immunosuppressed rat model. Journal of antimicrobial chemotherapy, 2004; 54(5): 909-914.。


腸でカビ(=真菌)であるカンジダ菌が異常繁殖して、それが腸内環境を悪化させたり、ココロやカラダの様々な症状に影響している人がいます。

もしくは、便秘や下痢を繰り返す多くの人、お腹がはった感じ(腹部膨満感)、ガス腹の人に、SIBO(シーボ)という病態が隠れていることがあります。

これは、小腸に細菌が異常増殖してしまっている病態です。食事栄養療法において、腸管へのアプローチとしてクローブ水が使われることがあります。

《クローブの鎮痛作用》

クローブの鎮痛効果がカプサイシンアゴニストとしての作用によることを示していますOhkubo, T., & Shibata, M. The selective capsaicin antagonist capsazepine abolishes the antinociceptive action of eugenol and guaiacol. Journal of Dental Research, 1997;76(4): 848-851.。

《クローブの抗ウイルス作用》

単純ヘルペスウイルスにおける阻害作用の標的部位の1つはウイルスDNA合成です。ウイルスDNAポリメラーゼ活性の阻害作用があります Kurokawa, M., et al. Purification and Characterization of Eugeniin as an Anti-herpesvirus Compound from Geum japonicum andSyzygium aromaticum. Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, 1998;284(2): 728-735.。


《クローブの骨への影響》

オイゲノールとオイゲノール誘導体を豊富に含むクローブ(Syzygium芳香族リン)抽出物は骨を維持する効果を示します。動物実験から性腺機能低下症の骨粗しょう症に対して骨を維持する効果があると提案されています。骨密度、骨ミネラル含有量、骨張力および組織学的分析の結果も同様の結果傾向を示しました。それが人間の骨形成にどのように影響するかを決定するには、さらに研究が必要です。

Karmakar, S., et al. Clove (Syzygium aromaticum Linn) extract rich in eugenol and eugenol derivatives shows bone-preserving efficacy.Natural product research,2012;26(6): 500-509.


《クローブと胃粘膜保護、便秘への作用》

クローブは、胃粘液の合成を刺激し、胃酸過多によるストレスから胃粘膜を保護する可能性があります。

Santin, J. R., et al. Gastroprotective activity of essential oil of the Syzygium aromaticum and its major component eugenol in different animal models.Naunyn-Schmiedeberg's archives of pharmacology,2011;383(2): 149-158.


クローブは、腸の筋肉の推進力を高め、便秘に有用である可能性があります。

Agbaje, E. O. Gastrointestinal effects of Syzigium aromaticum (L) Merr. & Perry (Myrtaceae) in animal models.Nigerian quarterly journal of hospital medicine,2008;18(3): 137-141.


《クローブの肝臓への作用》

酸化ストレスは、さまざまな肝疾患における肝障害の開始と進行に寄与する一般的な病因メカニズムです。そのため、クローブのような強力な抗酸化剤は慢性肝疾患に有用である可能性があります。

Medina, J., & Moreno-Otero, R. Pathophysiological basis for antioxidant therapy in chronic liver disease.Drugs,2005;65(17): 2445-2461.


7日間毎日150 mgのオイゲノールで肝機能が改善する可能性が示唆されています。

Rompelberg, C. J. M., et al. Effect of short-term dietary administration of eugenol in humans.Human & experimental toxicology,1996;15(2): 129-135.


しかし、一方で、クローブの大量摂取は、肝機能障害を引き起こす例も報告されているので、適正な量を使用することが大切です。

Hartnoll, G., Moore, D., & Douek, D. Near fatal ingestion of oil of cloves.Archives of disease in childhood,1993;69(3): 392-393.

《クローブの許容量》

料理など食事として摂取する場合は、心配ありません。しかし、サプリやオイルの場合は過剰摂取に気を付ける必要があります。


世界保健機関(WHO)は、1日あたりのクローブオイルの1日あたりの許容量は、人間の体重1kgあたり2.5 mgとしていますGülçin, İ., et al. Antioxidant activity of clove oil–A powerful antioxidant source. Arabian Journal of chemistry, 2012;5(4): 489-499.。




クローブをお風呂に入れて使われることもあります。体が温まるだけでなく、浴槽や身体にも衛生的で綺麗になりますが、皮膚が過敏な人は、クローブは刺激性があるので、しっかり薄めるか、もしくは、皮膚に使うのは避けましょう。

オイゲノールは経口経路で投与すると容易に吸収され、平均血漿中半減期は14.0時間ですGuénette, S. A.,. Pharmacokinetics of eugenol and its effects on thermal hypersensitivity in rats. European journal of pharmacology, 2007;562(1-2): 60-67.。

Cortés-Rojas, D. F.,et al. Clove (Syzygium aromaticum): a precious spice. Asian Pacific journal of tropical biomedicine, 2014; 4(2): 90-96.

《クローブの免疫調整作用》

クローブは液性免疫を大幅に強化します。

Halder, S., et al. Essential oil of clove (Eugenia caryophyllata) augments the humoral immune response but decreases cell mediated immunity. Phytotherapy Research, 2011; 25(8), 1254-1256.

液性免疫とは、B細胞と抗体が中心となる免疫反応です。B細胞が、大量の抗体を作って、抗体は体液中を循環して全身に広がります。抗体が血清中に溶解して存在するためこのように呼ばれています。抗体は病原菌にくっついて、マクロファージの貪食を助けます。また、抗体には、ウイルスや毒素にくっつくことでで感染力や毒性を失わせる作用を持つものがあります。

クローブに含まれるオイゲノールは、抗炎症作用と抗ウイルス作用の両方を備えています。


クローブが、コロナウイルスCOVID-19を抑制するエビデンスはありません。しかし、伝統的な感染予防対策として何世紀にも渡り世界で使われてきたハーブ(スパイス、生薬)であり、私たちの免疫力を高めてくれます。


クローブには、抗酸化物質が豊富に含まれており、免疫系が酸化的損傷やフリーラジカルと戦うのを助けてくれます。

また、感染を緩和し、体内の病原菌などと戦うのを助ける力を持っています。


風邪っぽい時に、温かいシナモン湯にクローブとにがりを入れて飲むのも効果的です。奥平式クローブシナモン湯の作り方は雑誌に書いてあります。

また、甘いものが欲しくなったら、作って甘さに驚かれると思いますが、甘〜い、シナモン湯がオススメです。



クローブ水をアレンジして、『クローブ緑茶』にするのもいいでしょう。緑茶に含まれるエピデロカテキンガレート(Epigallocatechin gallate EGCGは、クローブ同様、抗菌、抗ウイルス、抗酸化作用があります。

私は、にがりを入れたクローブ水やクローブ緑茶をチビチビ飲んでノドを潤しながら、日々の外来診療をしています。




コロナの感染対策は、ウイルスに対する根本的な治療法がない現時点では、まさに総力戦です。


まずは、免疫力の強化、食の工夫からです。


安くて気軽に使えるクローブは、日常生活に誰でも簡単に取り入れられます。





食事栄養療法倶楽部 資料


写真:壮快2020年9月号

参考 奥平智之「血液栄養解析を活用!うつぬけ食事術」


日本栄養精神医学研究会 奥平智之 作成


https://www.dr-okudaira.com  に登録されている方に、不定期に栄養スライドをお送りしております。


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