抗精神病薬(オランザピン)の血中濃度が、腸内細菌叢によって、影響を受ける可能性があるという報告です。
オランザピンのバイオアベイラビリティ(生体利用効率)は、抗生物質による腸内細菌叢の枯渇を受けたラットで有意に増加しました(単回経口投与後に、血中濃度の曲線下の面積であるAUCが1.8倍になりました)
十二指腸にある代謝酵素(ウリジン二リン酸グルクロン酸転移酵素(UdP-グルクロン酸転移酵素:UGT))の発現のダウンレギュレーションによって、薬剤の初回通過代謝の減少した可能性があると考察されています。
これらの酵素の多型は、OLZ代謝および治療反応における個人間変動の潜在的な原因として以前に示唆されていました。 Kassahun K, et al. Disposition and biotransformation of the antipsychotic agent olanzapine in humans. Drug Metab Dispos. 1997;25(1):81–93.
UGT1A3とUGT1A4の活動は、個人間で最大60倍の変動を示す可能性があり、血漿濃度の有意な変動やその後の毒性などの臨床リスクが増加します。Jiang L, et al. Identifying and applying a highly selective probe to simultaneously determine the O-glucuronidation activity of human UGT1A3 and UGT1A4. Sci Rep. 2015;5:9627.
抗生物質で治療したラットでは、腸透過性の亢進(リーキーガット)が十二指腸レベルでの吸収の増加の原因であった可能性がありますが、2つの密着結合タンパク質、オクルディンとZO-1の遺伝子発現によると、十二指腸の透過性は変化させていませんでした。
Cussotto, S., et al(2021). The gut microbiome influences the bioavailability of olanzapine in rats. EBioMedicine, 66, 103307.
●まとめ
患者さんの腸内細菌叢によって、抗精神病薬の血中濃度、効き方が変わることがあります。
※オランザピン(=ジプレキサ):幻覚妄想・躁うつに対して使われることがあります。
日本栄養精神医学研究会 奥平智之
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