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  • 執筆者の写真奥平智之

フェリチンの必須項目化を!

更新日:2023年7月3日



【フェリチンの必須項目化を!】  

 貧血まで至らなくても、つまり、ヘモグロビンの値が参考基準値内であっても、鉄欠乏状態で様々な不調がみられます。

 フェリチン(貯蔵鉄)の値が1桁の人、10以上25ng/ml未満の人、25以上50ng/ml未満の人では、精神症状や身体症状の出やすさや重症度が明らかに変わります。実際の臨床では、概ねこれらの値を参考にするとするとよいと思います。 (但し、日頃臨床であまり問題視しないような微細な炎症があっても、フェリチンは敏感に反応して、値が高めに出るので注意が必要です)。  

 日本の女性のフェリチン値は極めて低いです。20歳から40歳代の女性の約9割が50 ng/ml未満で、約6割が25 ng/ml未満。微細な慢性炎症が併存して、フェリチンが高めに出ている例も含まれていることを勘案すると、日本の有経女性の鉄欠乏はかなり深刻であると言えます。鉄は、本人の心身に影響を与えるだけではなく、胎児の中枢の発達にも重要であるため、母親の鉄欠乏が胎児の心身の成長発達にも大きく影響することがあります。  

 「貧血まで至らない鉄欠乏」(隠れ鉄欠乏)を正しく把握するには、健診におけるフェリチンの必須項目化が急務だと考えます。


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