核内受容体プレグナンX受容体(PXR)が活性化されると、24-ヒドロキシラーゼ(CYP24)遺伝子発現し、CYP24は、ビタミンDの分解に関与しています。
一部の医薬品は、プレグナンX受容体を活性化することにより、血清25(OH)D濃度を低下させます。そのような薬には、抗てんかん薬、抗腫瘍薬、抗生物質、抗炎症薬、降圧薬、抗レトロウイルス薬、グルココルチコイド、抗エストロゲン薬が含まれます。
ただし、バルプロ酸はチトクロームP450酵素を阻害し、プレグナンX受容体のリガンドではないため、バルプロ酸による骨代謝障害は24ヒドロキシラーゼの誘発では説明できません。
以下、ビタミンDとお薬との関係をみてみましょう。
ビスホスホネートは、骨粗しょう症の治療において最も頻繁に処方される薬剤の一つです。
ビタミンD欠乏症でカルシウム摂取量が不十分な患者では、ビタミンDの同時補給を行わないビスホスホネート療法では、低マグネシウム血症と低カルシウム血症を引き起こし、テタニーや骨石灰化の深刻な障害を引き起こすことがあるので、注意する必要があります。
また、動物研究は、ビタミンD欠乏症がレニン-アンジオテンシン系との相互作用を通じて血圧を上昇させることを示しています。ビタミンDを合成できない遺伝的に改変されたマウス(いわゆるビタミンD受容体ヌルマウス)では、レニンの発現、レニン-アンジオテンシン系の活性、およびアンジオテンシンIIの産生が劇的に増加することが観察されました。
高脂血症の治療薬であるスタチン製剤の治療を受けている人は、重度のビタミンD欠乏症(12μg/ml未満)でない方がコレステロールや中性脂肪のコントロールが良いという報告があります。
活性型ビタミンDである1,25-ジヒドロキシビタミンD3(1,25-ジヒドロキシコレカルシフェロール)を除くすべてのビタミンD3化合物は、濃度依存的にHMG-CoAレダクターゼ活性を阻害するという報告もあります。
Gupta, A. K., et al. Effect of vitamin D3 derivatives on cholesterol synthesis and HMG-CoA reductase activity in cultured cells. Journal of lipid research, 1989; 30(3): 379-386.
ビタミンDは、医療用の活性型ビタミンDではなく、サプリメントの非活性型の方が恩恵が得られそうです。
また、ビタミンD欠乏は、スタチンを服薬している患者の筋肉痛と関連している可能性があります。ビタミンD服用によって筋肉痛が解消される可能性があります。
Dermato-endocrinology, 2012; 4(2): 158-166.
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